人種による生物的能力差はない

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昨日読み終わりました。
本当に読み応えのある内容でした。

本書はつまり、白人の方が黒人よりも頭脳的な能力が高いとか低いとか、黄色人種がどうだ、とかいうものは無い、ということを証明するための研究です。
冒頭に出てきますが、なぜ欧米に富や権力が集中するのか、なぜアフリカやオーストラリアではないのか、という疑問は、言われてみれば確かに、と思います。
例えばコロンブスが新大陸アメリカを発見してヨーロッパ人が移り住んできたという過程において、なぜ先住民が追いやられてしまうに至ったのか、追い返すことはできなかったのか、といった疑問ですね。

それは戦闘能力に差があった、という結論はわかりますが、ではなぜその戦闘能力には差が生まれたのか、ということです。
つまり、究極的要因を探すということですね。

結論からすると、偶然です。

なんじゃそりゃ、となりますが、もう少し詳しく書くと、地理的要因と生態的な要因ですね。
地理的要因や生態的要因によって、食糧生産を開始した時期が早いところと遅いところがあり、それによって人口の稠密化の進み具合も変わります。
人口の稠密化は、タイトルにある銃や鉄器の製造に大きく関係します。
また、たまたま家畜化しやすい動物がその土地にいたかどうかでも様々な差異が出ます。
その差異の一つが、病原菌への抗体という側面です。

つまり、人種としての能力ではなく、形成された社会の差です。
社会のと、個々人の能力は基本関係ありません。

地理的な要因と生態的な要因、これらに大きく関係してくるのが、陸塊の分布です。
ヨーロッパを含む世界最大の大陸、ユーラシア大陸は東西に、つまり横に長い。
対してアフリカ、南北アメリカ大陸は南北、つまり縦に長い。
この陸塊のありかたがその後の人類の発展の仕方に大きな差を生んでいった、というのは非常に納得のいく内容でした。

陸塊のありかたを人間が左右できるはずもなく、それは地球の歴史で偶然そういう配置になっただけですが、それが要因になったのだから、偶然なんです。

本書でさらに面白かったのは、最後の方にあった歴史学の今後について、というところです。
日本だけではないかもしれませんが、学問においてはなぜかまず理系と文系という2つのどちらかに大別する、ということが行われます。
しかし、なにかの学問をより深く学ぼうとしたときには、理系文系に関係ない総合的な知識が必要になります。

歴史は文系に分類されますが、根っから文系学問ばかりやってきた学者が、今後の歴史学を発展させていくことは難しそうです。
もちろん、根っから理系学問ばっかりやってきた学者が歴史学に興味を持つことは、これまでは少なかったように思います。

だから今後は横断的に学問を学んでいくひとたちが歴史学を発展させていくことになるでしょう。
そういった歴史を、歴史科学という言葉を使って表しています。

何はともあれ、本当に面白い本です。

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