ボーカルと医学

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ボーカルからちょいちょい聞く噂の中に、これがありました。
喉の調子が悪いときは、唐揚げ、その他揚げ物を食べると、喉のスベリがよくなる、と言ったものです。
特にファミチキが良い、なんていう話もチラホラ。

最初にこれを聞いたのは数年前ですが、そんなわけないだろーが、と思っていましたね。
でも意外と信じている人が多かったのも事実。

いわゆるプラシーボ効果、というものはあると思うので、それを利用して結果的に良くなればそれで良いんですけどね。
唐揚げはおいしいし。

ボーカルは喉を使います。
喉は体の一部なので、体を使って音を出す唯一のパートです。
楽器とはここが決定的に違う。

だからなのでしょうか、結構神話がはびこります。

例えば、横隔膜を意識して、、なんていう話があります。
あのですね、横隔膜なんて見たことありますか?
医者でもない限り、まず見たことないでしょう?

喉も同様です。
発声するメカニズムは喉にありますが、喉の使い方を医学的に理解するのは、医者の仕事です。
医者になるのにどれだけの知識や勉強が必要かは言うまでもありません。

上記しましたが、これが楽器の場合だと違います。
なぜなら、見えるし確認できるからです。
ギターストロークをするにあたって、腕をどのように振るのか、ピックをどの様に持つのか、というのは目視できるでしょう。

でも、横隔膜も喉も全く見えません。
見たことがないものを意識するのは不可能です。
(プラシーボ効果は別です)

タブーかもしれませんが、横隔膜云々でボーカルレクチャーをしている人が、本当に横隔膜をコントロールできているのかどうかを、レントゲンか何かで確認してほしいものです。

あと、姿勢がどうのこうの、というのもありますね。

オペラ歌手ならまだしも、POPSの人が正しい姿勢で歌うことなんて、少なくともライブではほとんどありません。
直立不動の、正しいと言われる姿勢で最初から最後まで歌ってほしい、とオーディエンスはのぞむでしょうか。

タバコや酒もそうです。ボーカリストは健康意識が強い、というイメージは幻想です。
声を使う→身体を使う→身体が健康でないといけない
ということでそういうイメージなのもしれませんが、健康な人ほどよい声を出せる、という統計はありません。
なぜなら、良さに明確な基準がないからです。

POPSのボーカリストに求められるのは、正しい発声なんかじゃありません。
良い歌だけ、です。
声量やピッチという数値化できるものに関しては、オペラ歌手の方が上回っていることが多々あります。
でも、ユーミンの曲をオペラ歌手が歌ったら、もっと大衆に受け入れられると思いますか?

職業柄、歌手を目指している人に多く会います。
その中には、ボーカル教室に長く通ってボイトレをやっている人も多い。
その全てではありませんが、えらく違和感のある歌い方をしている人がいるのです。
質問すると、こういう歌い方が正しい、と教わった、というのです。

繰り返しますが、正しい歌い方なんてありません。
あるのは、良いかどうか、だけです。
それが抽象的だから、音楽は難しいし面白いのです。

唯一、ボイトレで身につけてほしいのは、喉がつかれないような方法を身につけることです。
または、疲れても疲れていないように聞こえさせる声の出し方です。

プロともなると、全国ツアーで何日も連続で歌わないといけないことがあります。
しかも、ステージでは数時間歌いっぱなしです。

カラオケに行ったらわかると思いますが、2時間連続で歌い続けるのってなかなかに体力も使うし、喉も疲弊します。
疲弊したのがすぐにわかるような歌声を聞かされるオーディエンスは不幸です。

繰り返しますが、ボーカルは喉や身体という、直接見えない部位を使います。
だからこそ根拠のない迷信がはびこりやすい。
医学の知識がない人が、喉が、横隔膜だ、なんてことを言うのです。
少しは勉強したかもしれませんが、人の身体を理解するのは宇宙を理解するのと同じくらい難しいのです。

大切なのは、結果的に出てきた声が良いかどうか、だけです。
どんな発声方法を使っても、それがたとえボイトレ界でNGな方法でも、大衆が良いと思うものならば、それは良い発声です。
そして大衆は、ボーカルの先生とか音楽業界の人ではなく、すぐ隣りにいる友人だったりするんです。

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